マウスピース矯正のメンテナンス方法〜専門医が教える正しいケア術
マウスピース矯正を長持ちさせるメンテナンスの重要性
マウスピース矯正は、目立たない矯正治療として多くの方に選ばれています。透明なマウスピースは審美性に優れ、取り外しができる利便性から、従来のワイヤー矯正と比較して人気を集めています。
しかし、せっかく始めたマウスピース矯正も、適切なメンテナンスを怠ると効果が半減してしまうことをご存知でしょうか?
マウスピースは1日20時間以上装着するため、唾液や口腔内の細菌が付着しやすく、適切なケアをしないと変色や細菌繁殖の原因になります。これが口臭や虫歯、歯周病のリスクを高めるだけでなく、マウスピース自体の劣化も早めてしまうのです。
私はインビザラインブラックダイヤモンドプロバイダーとして年間400症例以上のマウスピース矯正治療を担当していますが、メンテナンスの良し悪しで治療結果に大きな差が出ることを日々実感しています。
今回は、マウスピース矯正を快適に続け、最大限の効果を得るための正しいメンテナンス方法をご紹介します。日々の簡単なケアで、マウスピースを清潔に保ち、治療効果を高めましょう。

毎日のマウスピース洗浄〜基本のケア方法
マウスピース矯正のメンテナンスで最も重要なのは、毎日の基本的な洗浄です。これを怠ると、マウスピースに細菌が繁殖し、口臭や虫歯のリスクが高まります。
まずは、マウスピースを外したらすぐに洗いましょう。唾液や汚れが乾燥する前に、流水でさっと洗い流すことが大切です。この時、熱湯は絶対に使わないでください。マウスピースが変形してしまう恐れがあります。
基本的な洗浄手順
毎日のマウスピース洗浄は、以下の手順で行いましょう。
- マウスピースを外したら、すぐに冷水またはぬるま湯で軽くすすぐ
- 柔らかい歯ブラシを使って、マウスピースの内側と外側を優しくブラッシング
- 流水でしっかりすすいで、残った汚れを落とす
- 清潔なタオルやペーパータオルで水分を拭き取る
- 専用ケースに保管する(使用する場合はすぐに装着)
ここで注意したいのが、歯磨き粉の使用です。研磨剤入りの歯磨き粉を使うと、マウスピースに細かい傷がつき、かえって汚れや細菌が残りやすくなります。もし歯磨き粉を使用する場合は、研磨剤の入っていないジェルタイプや泡タイプを選びましょう。
私の患者さんには、外出先でもケアができるよう、携帯用の洗浄キットを持ち歩くことをお勧めしています。食事のたびにマウスピースを外す必要があるため、外出先でも簡単にケアできる準備をしておくと安心です。
洗浄のタイミングと頻度
マウスピースの洗浄は、いつ行えばよいのでしょうか?
基本的には、マウスピースを外すたびに洗浄するのがベストです。特に食事の後は、口腔内に食べ物の残りがあるため、歯磨きをした後にマウスピースを装着するようにしましょう。
どうしても洗えない状況では、最低でも1日1回は必ず洗浄することをお勧めします。長時間洗浄しないままでいると、唾液の成分がマウスピースにこびりついて、白くくすんだり口臭の原因になることもあります。
専用洗浄剤の選び方と使用方法
毎日の水洗いだけでは落としきれない汚れが蓄積してくると、マウスピースが黄ばんだり、嫌な臭いがしたりすることがあります。そんな時は、専用の洗浄剤を使うことをお勧めします。
マウスピース用洗浄剤には、大きく分けて「つけ置きタイプ」と「スプレー・泡タイプ」の2種類があります。それぞれの特徴を理解して、状況に応じて使い分けるとよいでしょう。
つけ置きタイプの洗浄剤
つけ置きタイプは、自宅での使用に適しています。ぬるま湯(約40℃)または水に洗浄剤を溶かし、マウスピースを5〜15分浸けるだけで効果的に洗浄できます。
代表的な製品としては、「ポリデント リテーナー・マウスピース用洗浄剤」があります。除菌率99.9%で菌やウィルスを除去し、マウスピースを清潔に保つことができます。
つけ置きタイプの使用方法は簡単です。約150mlのぬるま湯に洗浄剤を1つ溶かし、マウスピースを5分以上浸け置きします。その後、流水でしっかりすすいで完了です。
注意点としては、お湯の熱でマウスピースが変形することがあるので、必ずぬるま湯か水を使用しましょう。また、洗浄剤はその都度新しいものを使用するのがおすすめです。
スプレー・泡タイプの洗浄剤
スプレー・泡タイプは、外出先でも手軽に使用できるため、携帯性が求められる場面に最適です。スプレーを直接マウスピースに吹きかけて、指で軽くこすり洗いするだけで短時間でケアができます。
「デンタルラボ 泡ウォッシュ」などの製品は、1分で99.99%除菌できるため、外出時などマウスピースを短時間で洗浄したい時におすすめです。
使い方は、マウスピースを手で持ち洗浄スプレーを数回噴射し、5秒間を目安に柔らかい歯ブラシで優しく磨きます。その後、流水でしっかりすすいで完了です。
日常的なケアには両方を併用するのが理想的です。つけ置きタイプで定期的に徹底洗浄し、外出時にはスプレータイプで手軽にケアするという使い分けがおすすめです。

マウスピースの変色・臭い対策
毎日のケアを続けていても、使用を続けるうちにマウスピースが黄ばんできたり、嫌な臭いがしたりすることがあります。これは、唾液中のタンパク質や食べ物の色素、タバコのヤニなどが原因です。
マウスピースの材質は透明な樹脂であるため色移りしやすく、一度変色してしまうと元に戻すのは難しいこともあります。そのため、変色を防ぐための予防策が重要です。
黄ばみ対策
マウスピースの黄ばみを防ぐためには、以下の点に注意しましょう。
- 着色性の強い飲み物(コーヒー、紅茶、赤ワインなど)を飲む際はマウスピースを外す
- 喫煙する場合は必ずマウスピースを外す
- 食後は歯をしっかり磨いてからマウスピースを装着する
- 週に1〜2回は洗浄剤でつけ置き洗いをする
黄ばみが気になる場合は、「漂白活性化剤」配合の洗浄剤を使用すると効果的です。黄ばみに対して効果があり、漂白作用が高く短時間で洗浄できます。
しかし、あまりに強い漂白剤を使用すると、マウスピースが劣化する原因にもなります。製品の説明書に従って、適切な濃度と時間で使用しましょう。
臭い対策
マウスピースから嫌な臭いがする場合、細菌の繁殖が原因であることが多いです。臭いを防ぐためには、以下の対策が効果的です。
- 毎日の洗浄を欠かさない
- 「酵素」配合の洗浄剤を使用する(タンパク質汚れを分解する効果がある)
- マウスピースケースも定期的に洗浄する
- マウスピースを乾燥させてから保管する(湿ったままだと細菌が繁殖しやすい)
臭いが気になる場合は、週に2〜3回のつけ置き洗浄がおすすめです。特に「酵素」配合の洗浄剤は、食物片などの付着による、落ちにくいたんぱく質汚れを分解するため洗浄力が高く、臭い対策に効果的です。
マウスピースの臭いは、口臭の原因にもなります。快適な矯正生活のためにも、定期的なケアを心がけましょう。
正しい保管方法と注意点
マウスピースを使用しない時の保管方法も、メンテナンスの重要なポイントです。適切な保管をしないと、マウスピースの変形や破損、細菌の繁殖の原因になります。
マウスピースの正しい保管方法について、詳しく見ていきましょう。
専用ケースの活用
マウスピースを外した時は、必ず専用のケースに保管しましょう。ティッシュやナプキンに包んだり、そのまま机の上に置いたりすると、紛失や破損のリスクが高まります。
専用ケースは通気性のあるものを選ぶと、湿気がこもらず清潔に保つことができます。また、ケース自体も定期的に洗浄して、清潔な状態を保ちましょう。
私の臨床経験では、マウスピースの紛失や破損は意外と多く発生します。特に外食時にナプキンに包んだまま捨ててしまうケースが少なくありません。専用ケースの使用は、そうしたリスクを大幅に減らすことができます。
保管時の注意点
マウスピースの保管には、以下の点に注意しましょう。
- 高温の場所を避ける(車内や直射日光の当たる場所など)
- 乾燥した状態で保管する(湿ったままだと細菌が繁殖しやすい)
- 子どもやペットの手の届かない場所に置く
- 複数のマウスピースを保管する場合は、番号順に整理する
マウスピース矯正では、治療の進行に合わせて複数のマウスピースを使用します。インビザラインの場合、初回の型取りで全てのマウスピースが完成するため、使用していないマウスピースの保管方法も重要です。
清潔な箱や袋に入れ、風通しの良い場所または直射日光が当たらず高温にならない場所で保管しましょう。また、装置を交換する度に保管している箱や場所に問題がないかチェックするのがおすすめです。

歯科医院での定期メンテナンスの重要性
自宅でのケアに加えて、歯科医院での定期的なメンテナンスも非常に重要です。マウスピース矯正中は、通常1〜2ヶ月に1回の頻度で歯科医院に通院し、歯科医師による定期的なチェックを受ける必要があります。
歯科医院での定期メンテナンスでは、どのようなことを行うのでしょうか?
治療進行状況の確認
定期チェックの最も重要な目的は、治療が計画通りに進んでいるかを確認することです。マウスピースの装着時間を守り、指示通りに新しいマウスピースへの交換ができていれば、当初の治療計画通りに歯並びが整ってくるはずです。
もし治療計画より歯の動きが遅れている場合は、装着時間を守れているか、装置が欠けたり変形していないかを確認し、必要に応じて治療計画を立て直したり、マウスピースを再製作することもあります。
インビザラインの場合、治療開始から5年以内であれば、予定通りに動かなかった場合に無償でアライナー(マウスピース)の再作製が可能という利点があります。定期的なチェックで早期に問題を発見することで、そうしたサポートを適切に活用することができます。
口腔内の健康チェック
矯正治療中は通常時と比べ虫歯や歯周病になりやすく、装置が正しく使えていない場合は歯茎を傷つけるだけでなく、歯を支えている骨に過度なダメージを与えてしまうことがあります。
定期メンテナンスでは、そういったお口のトラブルが発生していないかを確認します。必要に応じて、プロフェッショナルクリーニングや歯石除去なども行います。
マウスピース矯正は自己管理が重要な治療法ですが、専門家による定期的なチェックとサポートがあってこそ、最大の効果を発揮します。定期メンテナンスは決して省略せず、必ず受けるようにしましょう。
まとめ:快適なマウスピース矯正生活のために
マウスピース矯正のメンテナンスは、治療の成功と快適さを左右する重要な要素です。適切なケアを続けることで、マウスピースを清潔に保ち、効果的な治療を実現することができます。
今回ご紹介したメンテナンス方法をまとめると、以下のようになります。
- 毎日の基本的な洗浄を欠かさない(マウスピースを外したらすぐに洗う)
- 状況に応じて「つけ置きタイプ」と「スプレー・泡タイプ」の洗浄剤を使い分ける
- 変色・臭い対策として、定期的な専用洗浄剤でのケアを行う
- 使用しないときは専用ケースに保管し、高温や湿気を避ける
- 1〜2ヶ月に1回の歯科医院での定期メンテナンスを受ける
マウスピース矯正は、自己管理が重要な治療法です。1日20時間以上の装着が必要とされており、これを守れないと治療効果が十分に得られないことがあります。
しかし、適切なメンテナンスと自己管理を行えば、目立たない矯正装置で快適に治療を進めることができます。「装置が見えにくく目立たない」「金属アレルギーの心配がない」「装置をとって食事ができる」というマウスピース矯正の利点を最大限に活かしましょう。
何か不安なことがあれば、担当の歯科医師に相談することをお勧めします。私たち専門家は、患者さんの治療がスムーズに進むよう、全力でサポートいたします。
美しい歯並びと健康な口腔環境を手に入れるため、正しいメンテナンスで快適なマウスピース矯正生活を送りましょう。

著者情報
オーラルビューティークリニッククラリス歯科・矯正歯科院長 引野 貴之
経歴
神奈川歯科大学卒業
日本歯科大学附属病院にて勤務
都内の歯科医院にて副院長として6年勤務
学会・資格など
日本口腔インプラント学会会員(日本口腔インプラント学会認定100時間講習会修了)
公益社団法人 日本歯科先端技術研究所(JIAD)会員/JIAD インプラント認証医
インビザライン矯正 2024年 ブラックダイヤモンドドクター認定(国内約 10名)
スマイルトゥルー マウスピース型矯正認定取得
ハーモニー舌側矯正認定取得
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