【歯科医監修】金属アレルギー患者の矯正治療完全ガイド

2025/11/02

【歯科医監修】金属アレルギー患者の矯正治療完全ガイド

金属アレルギーがあっても矯正治療を受けたい。でも、どんな選択肢があるのか分からない…。そんなお悩みをお持ちの方は少なくありません。

矯正治療というと、金属のワイヤーやブラケットを使用するイメージが強いですよね。金属アレルギーの方にとって、これは大きな不安材料になります。

しかし、現代の歯科医療では金属アレルギーの方でも安心して受けられる矯正治療の選択肢が広がっています。最新の材料や技術の進歩により、金属を使わない、あるいは金属アレルギーの原因になりにくい素材を使った矯正装置が登場しているのです。

金属アレルギーとは？矯正治療との関係

金属アレルギーは、特定の金属に対して免疫反応が過剰に起こる状態です。金属が体内に取り込まれると、タンパク質と結合して「金属タンパク複合体」を形成します。この複合体に対して体が抗体を作り出し、アレルギー反応を引き起こすのです。

矯正治療で使われる金属の中で、特にアレルギーを引き起こしやすいのは「ニッケル」「クロム」「コバルト」などです。従来の矯正装置には、これらの金属が含まれていることが多いため、金属アレルギーの方は注意が必要です。

金属アレルギーの症状は、接触した部位の赤み、かゆみ、湿疹などの局所的な症状から、全身に症状が現れる場合まであります。特に口腔内で金属アレルギーが起きると、口内炎や舌の痛み、味覚障害などの症状が現れることもあります。

矯正治療を始める前に、自分が金属アレルギーかどうかを確認しておくことが重要です。金属アレルギーの可能性がある方は、事前に歯科医師に相談し、適切な検査を受けることをお勧めします。

金属アレルギーの検査方法

金属アレルギーの検査には主に2つの方法があります。

1つ目は「パッチテスト」です。これは金属試薬を含ませたパッチを背中や上腕の皮膚に貼り付け、48時間後にアレルギー反応が出るかを確認する方法です。複数の金属を同時に検査できるため、どの金属にアレルギーがあるのかを特定することができます。

2つ目は「血液検査（リンパ球刺激試験：DLST）」です。採取した血液中の白血球を培養し、そこに金属イオンを加えてアレルギー反応の有無を調べます。体に直接パッチを貼る必要がないため、パッチテストでアレルギー反応が起きるリスクを避けられるメリットがあります。

金属アレルギー患者に適した矯正装置の種類

金属アレルギーがあっても、現在では様々な矯正装置の選択肢があります。それぞれの特徴を見ていきましょう。

マウスピース矯正（インビザライン等）

マウスピース矯正は、透明なプラスチック製のマウスピースを使用する矯正方法です。金属を一切使用しないため、金属アレルギーの方に最も適した選択肢の一つです。

インビザラインは世界的に有名なマウスピース矯正のブランドで、透明で目立ちにくく、取り外しも可能です。食事や歯磨きの際に取り外せるため、口腔衛生を保ちやすいというメリットもあります。

当院でも、インビザラインを使った矯正治療を多く手がけています。私自身、インビザラインのブラックダイヤモンドプロバイダーとして認定を受けており、年間401件以上の症例実績があります。金属アレルギーの患者さんにも安心して治療を受けていただけるよう、丁寧なカウンセリングを行っています。

セラミックブラケット

セラミックブラケットは、従来の金属ブラケットの代わりにセラミック（陶材）でできたブラケットを使用する方法です。白色や透明で目立ちにくいという審美的なメリットもあります。

ただし、ワイヤーを通す部分に金属を使用しているタイプもあるため、完全な金属フリーを希望する場合は、ワイヤーを通す部分にも金属を使っていないセラミックブラケットを選ぶ必要があります。

チタン合金の装置

チタンは金属の中でも特にアレルギー反応を起こしにくい素材として知られています。そのため、金属アレルギーの方でも比較的安全に使用できることが多いです。

チタン合金のブラケットやワイヤーは、ニッケルなどのアレルギー反応を起こしやすい金属を含まないため、金属アレルギーの方の選択肢の一つとなります。ただし、金属アレルギーの種類によっては、チタンでもアレルギー反応が出る可能性があるため、事前の検査が重要です。

金属アレルギー患者の矯正治療の流れ

金属アレルギーがある方の矯正治療は、通常の矯正治療とは少し異なる流れになります。具体的な流れを見ていきましょう。

初診・カウンセリング

まず初診では、金属アレルギーについての詳しい問診を行います。過去にアクセサリーなどで肌に異常が出た経験があるか、口腔内の金属修復物（銀歯など）で違和感を感じたことがあるかなどを確認します。

また、現在の歯並びや噛み合わせの状態を詳しく検査し、どのような矯正治療が適しているかを検討します。金属アレルギーがある場合は、その程度や種類に応じて、最適な矯正装置を提案します。

金属アレルギー検査

金属アレルギーが疑われる場合や、確実な診断が必要な場合は、先ほど説明したパッチテストや血液検査を行います。これらの検査は皮膚科や専門の医療機関で受けることができます。

検査結果に基づいて、どの金属にアレルギーがあるのかを特定し、それを避けた矯正装置を選択します。

治療計画の立案

検査結果や歯の状態を総合的に判断し、金属アレルギーに配慮した治療計画を立てます。マウスピース矯正が適している場合は、3Dスキャンを行い、コンピューター上で歯の動きをシミュレーションします。

セラミックブラケットやチタン合金の装置を使用する場合も、詳細な治療計画を立て、患者さんに説明します。

矯正装置の装着と調整

治療計画に基づいて矯正装置を装着します。マウスピース矯正の場合は、数週間ごとに新しいマウスピースに交換していきます。ブラケットを使用する場合は、定期的に調整を行います。

金属アレルギーの方は、装置装着後も口腔内の状態を注意深く観察し、異常があればすぐに歯科医師に相談することが大切です。

金属アレルギー患者の矯正治療における注意点

金属アレルギーの方が矯正治療を受ける際には、いくつかの注意点があります。

日常生活での注意点

金属アレルギーの症状を悪化させないために、日常生活でも注意が必要です。

まず、口腔内の金属修復物（銀歯など）がある場合は、それらが金属アレルギーの原因になっている可能性があります。矯正治療と並行して、これらをセラミックやレジンなどの非金属素材に置き換えることを検討しましょう。

また、金属を多く含む食品（コーヒー、チョコレート、紅茶など）や、インスタント食品、ファストフードなどは控えめにすることも大切です。これらの食品に含まれる金属が症状を悪化させることがあります。

アレルギー症状が出た場合の対処法

万が一、矯正装置を装着した後にアレルギー症状が出た場合は、すぐに歯科医師に相談してください。症状の程度によっては、装置を一時的に外したり、別の素材の装置に変更したりする必要があります。

軽度の症状であれば、抗ヒスタミン薬や副腎皮質ステロイド薬などの薬物療法で対処できる場合もありますが、必ず医師の指示に従ってください。

症状が重篤な場合は、矯正治療を一時中断し、アレルギー専門医と連携して対応することもあります。

金属アレルギー患者の矯正治療の費用と期間

金属アレルギーの方の矯正治療は、使用する装置や治療法によって費用や期間が変わってきます。

各治療法の費用相場

マウスピース矯正（インビザライン等）は、一般的に50万円〜80万円程度かかります。ただし、当院では22.4万円からマウスピース矯正治療を提供しています。多くの患者さんに選ばれていることで、大量のマウスピース制作依頼が可能となり、そのコスト削減分を患者さんの治療費に還元しているためです。

セラミックブラケットを使用した矯正治療は、50万円〜80万円程度が相場です。チタン合金の装置を使用する場合も、同程度の費用がかかることが多いです。

これらの費用には、初診料、検査料、装置代、調整料などが含まれますが、医院によって内訳や総額は異なりますので、事前に詳しく確認することをお勧めします。

治療期間の目安

矯正治療の期間は、歯並びの状態や選択する治療法によって大きく異なります。一般的な目安としては、以下のようになります。

マウスピース矯正：1年〜2年程度

セラミックブラケット：1年半〜2年半程度

チタン合金の装置：1年半〜2年半程度

ただし、これはあくまで平均的な期間であり、個人差があります。軽度の歯並びの乱れであれば短期間で治療が完了することもありますし、複雑な症例では3年以上かかることもあります。

当院での金属アレルギー患者向け矯正治療の特徴

クラリス歯科・矯正歯科では、金属アレルギーの患者さんでも安心して矯正治療を受けられるよう、様々な取り組みを行っています。

豊富な症例実績と専門知識

当院の引野院長は、インビザラインブラックダイヤモンドプロバイダーの認定を受けており、これは世界トップ1%の症例実績数を持つ医師にのみ与えられる資格です。日本国内でもわずか10名しか認定を受けていない希少な資格であり、豊富な経験と高い技術で治療を提供しています。

また、日本口腔インプラント学会会員、公益社団法人日本歯科先端技術研究所会員など、様々な資格や実績を持っており、最新の知識と技術を駆使した治療を行っています。

徹底したカウンセリングと個別対応

金属アレルギーの患者さんには、特に丁寧なカウンセリングを行い、アレルギーの種類や程度に応じた最適な治療法を提案しています。必要に応じて、アレルギー検査の紹介も行っています。

また、完全個室の診療室で治療を行うため、リラックスした環境で安心して治療を受けていただけます。

アフターケアと定期メンテナンス

矯正治療が終了した後も、定期的なメンテナンスを行い、歯並びの状態や口腔内の健康をチェックしています。金属アレルギーの方は特に、口腔内環境の変化に敏感に反応することがあるため、継続的なケアが重要です。

また、矯正治療後の後戻りを防ぐためのリテーナー（保定装置）も、金属を使用しないタイプを提供しています。

まとめ：金属アレルギーがあっても諦めない矯正治療

金属アレルギーがあっても、現代の歯科医療技術では様々な選択肢があります。マウスピース矯正、セラミックブラケット、チタン合金の装置など、患者さんの状態や希望に合わせた治療法を選ぶことができます。

大切なのは、自分の金属アレルギーの種類や程度を正確に把握し、それに適した矯正装置を選ぶことです。そのためには、経験豊富な歯科医師に相談し、必要に応じてアレルギー検査を受けることをお勧めします。

当院では、金属アレルギーの患者さんでも安心して矯正治療を受けられるよう、豊富な経験と最新の技術で対応しています。矯正治療に関するご質問やご不安がありましたら、お気軽にクラリス歯科・矯正歯科にご相談ください。

金属アレルギーがあっても、あなたの理想の歯並びを手に入れることは可能です。まずは一歩踏み出して、専門医に相談してみましょう。

 

著者情報

オーラルビューティークリニッククラリス歯科・矯正歯科院長　引野 貴之